ポルディ ペッツォーリ美術館
オペラの殿堂、ミラノスカラ座から徒歩で3分ほどのところに位置する、ポルディ ペッツォーリ美術館。
2008年に4つの美術館(ポルディ ペッツォーリ、バガッティ ヴァルセッキ、ボスキ ディ ステファノ、ヴィッラ ネッキ カンピリオ)で発足したミラノにある「ハウス ミュージアム」のうちのひとつです。
2014年に、日本で「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ 美術館 華麗なる貴族コレクション」という展示がBunkamura ザ ミュージアムから巡回で行われたので、そちらにお出かけになったかたもいらっしゃるかもしれませんね。
ポルディ ペッツォーリ美術館の歴史と特徴
ポリディ ペッツォーリ美術館を語るには、まず、ジャン ジャコモ ポルディ ペッツォーリという男性の話からしないといけません。
ジャン ジャコモ ポルディ ペッツォーリは1822年7月27日ミラノ生まれ。
彼の父親、ジュゼッペ ポルディ ペッツォーリ(1768~1833)は、1818年にペッツォーリ家の莫大な財産を継承。(ジュゼッペはオーストリア政府のための税契約を与えられていました!※1700年初めから終わりまで、ミラノはオーストリア支配下ということを考えたら、いかにすごいことかが理解できます )
そして1819年、ジュゼッペは、大変なインテリで、コレクターでもあった、ミラノで最も有名な私立博物館の相続人であるジャン ジャコモ侯爵(1774〜1831)の娘、ローザ トリヴルツィオ(1800〜1859)と結婚。
ジャンジャコモは、父、ジュゼッペが11歳の時に亡くなった後、母親の教育の元、芸術家や作家との友情を育みました。
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もうおわかりのように、ジャン ジャコモ ポルディ ペッツォーリは、経済的にも文化的にも恵まれた環境に生まれ育った、お金持ちのインテリ男性だったわけです。
昔から経済的に恵れた教養のある文化人がなにをするかというと
「コレクション」
と相場が決まっていますよね(笑)
教養もあるから見る目もあるので、そのコレクションといったら! 素晴らしいに決まってます(笑)
1846年、ジャンジャコモは成人し、父親の遺産を手に入れました。って、別に母親の管理下にあったとしても、一人っ子だったようだし、遺産相続の問題は彼がいくつになってもなかったはずですが。
うらやましい限り(笑)
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美術館の入り口は、マンゾーニ通りからすこ少し奥まったところにあって、いつも落ち着いた印象です。
他の美術館のような長蛇の列が、私はミラノに20年以上住んでいますが、どういうわけか見たことがありません。
プライベート美術館で、若干ほかの美術館より入場料が高い印象があるからなのか、外国人観光客のように、ミラノの滞在日数に限りがあると、ほかの美術館を選択するからなのか?
ハウスミュージアムということで、ジャン ジャコモ ポルディ ペッツォーリさんのお屋敷が美術館になったわけですが、第2次世界大戦で爆撃にあったことも付け加えておきます。
実際に美術館を見学すると、被害のあった部屋には、戦争前の様子の白黒写真が展示されていて、戦争というのがいかにひどいかを実感することができます。
ポルディ ペッツォーリでのおすすめ
それほど広い美術館ではないのですが、見所満載。
まず、入り口を入ってチケットを購入したら、すばらしい階段をのぼった、上の階から見学をスタートしてください。
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階段をのぼって左側には、ゴシック時代からルネッサンス時代の絵画が中心に展示されていて、レオナルド ダ ヴィンチの弟子の作品などもありますが、キリスト教に関する知識があったほうが、より楽しめると思います。
そのあともとに戻って階段をのばってまっすぐ進んで右側のガラスケースには素晴らしい磁器のコレクションが!
そしてその後ろのお部屋が、おそらくこの美術館の一番の見所だと思います。
ポルディ ペッツォーリ美術館のシンボルでもある、ピエロ デル ポッライオーロの若い女性の肖像画や、ボッティチェリ、ピエロ デッラ フランチェスカなどなど
その先に進むと、時計のコレクションなどもあって、見所満載。
そしてもとに戻ってほかのお部屋に行くと、家具もすばらしいのですが、彫刻も見逃せません。
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この写真の彫刻は、ジャン ジャコモ ポルディ ペッツォーリの母である、ローザ トリヴルツィオが配偶者であるジュゼッペ ポルディ ペッツォーリの死後、ロレンツォ バルトリーニに制作を依頼したもので、彼女の落胆ぶりが美しく、そして悲しく表現されています。
硬い素材である大理石で、この柔らかさをここまで表現できるのは、ほんとうに素晴らしいと思うし、この素晴らしい作品のある部屋の装飾や扉のすばらしさにも目を向けずにはいられません。
そしてこの部屋も第2次世界大戦で爆撃にあったことがわかる写真が後ろに展示されていて、ローザ トリヴルツィオの悲しみを倍増させるかのよう。
ここまで見学しただけでも大満足ですが、さらに先に進むと、ローザ トリヴルツィオの胸像があります。
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この作品も同じく、ロレンツォ バルトリーニ作です。
ジャン ジャコモ ポルディ ペッツォーリは母であるローザの死後、この胸像に彼女の所有していた宝石を付けたりして母をしのんでいたと、イタリア人のガイドさんから聞いたことがあります。
(ジャン ジャコモ ポルディ ペッツォーリは生涯独身)
イタリア人男性は「マンモーネ」(マザコン)なので、
それってあるだろうね~
と、私は素直に納得した覚えがあります。
ほかにもたくさん見所がありますが、実はこの階だけでは見学は終わりません!
チケット売り場のある地上階の展示も必見
地上階にはトイレと荷物を預けることができるロッカーがあるのですが、そこにいく途中にあるクローゼットのようなもの。
通り過ぎてはいけません!
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誰も教えてくれなければ、確実に通り過ぎてしまう、このクローゼット。
実は写真のように引き出すと、そのなかには素晴らしいレースがあるんです!
下の引き出しにも同じように収納されているので、手芸好きにはたまらないはずで、これをみるだけで、一日過ごす人もいるんじゃないかな?
私は知っているので開けてみますが、係員がこれも見たほうがいいよとか教えてくれない限り(私は係員から教えてもらったことがない!友人のイタリア人ガイドに教えてもらったから知ってます)、絶対通り過ぎちゃうので、もったいない!!!!!!!!
その他のおすすめ
地上階には武器のコレクションを収めた部屋もあります。
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ミラノは昔から、こういった武器で有名な街だったこともあって、ジャン ジャコモ ポルディ ペッツォーリさんがそれを理由に収集したのかどうかはわかりませんが、とにかく彼のコレクションの最初は武器だったらしいです。
個人的にはここにくると、手塚治虫の鉄腕アトムを思い出してしまうんですが、奥に並んだ戦士みたいな集団のせいなんだろうなあ。
この写真には武器とはまったく関係のない洋服が展示されているのが見えますが、この美術館もこうした常設展とは違った特別展も頻繁に開催されています。
見学する日がだいたいいつかめどがついたら、どんな催しがあるのかをチェックしたほうがいいですね!
まとめ
他の美術館、博物館がクローズしている月曜日に開館してくれているありがたい美術館だし、立地条件も最高だし、混雑していることもほとんどないので、行かない手はないと思います。
19世紀ミラノの知識階級の趣味と生活をのぞくには、もってこいの美術館ではないでしょうか?
ポルディ ペッツォーリ美術館詳細
名称:Museo Poldi Pezzoli
住所:Via Alessandro Manzoni, 12, 20121 Milano MI, イタリア
電話:+39 02 794889
WEB:museopoldipezzoli.it
営業:10時00分~18時00分(水~月曜日)