イタリア ミラノのブレラ絵画館をご紹介


ブレラ絵画館

ブレラ絵画館はもともと、1571年に廃止されたSanta Maria in Brera(サンタ・マリア・イン・ブレラ)教会(1229~1347年)と隣接するウミリアーティ会(毛織物の製造で名高かった、半修道会的な宗教団体)の修道院だった場所に、イエズス会の寄宿舎として建設されたPalazzo di Brera(ブレラ宮殿)内にあるイタリアでも有名な美術館のひとつです。

ブレラ絵画館の歴史と特徴

300年ぐらい時代は一気にすすみますが、なぜ1859年、中央の中庭に、Antonio Canova(アントニオ・カノーバ)が制作したモデルから造られたNapoleone I( ナポレオン一世)のブロンズ像が配置さたのでしょう?

ミラノはナポレオン時代の前にオーストリア支配下(1706~1797年)にありました。
ベルサイユのばらで有名なマリー アントワネットの母親である、マリア テレジアの時代。

オペラの殿堂のスカラ座が建設されたのも彼女の時代なんです!

ブレラ絵画館入り口はナポレオン像の後ろの階段をのぼった2階

ブレラ絵画館入り口はナポレオン像の後ろの階段をのぼった2階

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教育に力を入れていた彼女のおかげで、美術学院が誕生し、学生の教材用として美術品のコレクションがはじめられ今のブレラ絵画館の母体になりましたが、時代はナポレオンに移行します。

1805年、ナポレオンがイタリア王になり、購入された美術品がミラノの美術学院に集められました。

ナポレオンの政策は文化遺産の保存保護だけではなく、教育手段、国家の栄華と歴史のシンボルとなる国立の大美術館の形成と目指していたので、廃止された教会や修道院からたくさんの美術品が集まったわけです。

ブレラ絵画館は北イタリアのルーブル美術館といってもいいかもしれませんね。

集まってきた作品が大型の祭壇画だったため、スペース不足が切実な問題になり、Santa Maria in Brera(サンタ・マリア・イン・ブレラ)教会が側廊の高さで2階に分けられ、ブレラ絵画館の中核となった1室がお披露目されたのが、1809年。

8月15日のナポレオンの誕生日でした。(獅子座ですね!)

ブレラ絵画館の歴史とナポレオンは、こういったわけで、切っても切れない関係にあるわけです。

 

絵画館入り口

絵画館入り口

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前置きが長くなりましたが、美術館の入り口は、ブレラ通りから中庭に入ってナポレオン像の後ろの階段をのぼった2階。

ナポレオン像の後ろをまっすぐ進んでしまうと、絵画館ではなく、学生たちのいる芸術アカデミー(Accademia di Belle Art  日本の美術大学のようなもの)に入ってしまいます(笑)

それはそれで面白いかもしれませんが、まずは絵画館を目指しましょう(笑)

リュックサックや大きな傘などは、イタリアの大部分の美術館・博物館同様、絵画館内に持ち込めないため、入り口をはいった左側のロッカーに預けることになるので、避けたほうが無難です。

絵画館の入り口にいくまでの階段をのぼりながら中庭のナポレオン像をみるのも私的にはおすすめです。

 

ブレラ絵画館でのおすすめ

大雑把な言い方をすると、ブレラ絵画館は時代の古いものから新しいものという展示になっています。

まず、入り口を入ってチケットを購入したら、左側のモッキローロの礼拝堂が復元された部屋から見学をスタートしてください。

アンドレア マンテーニャ 死せるキリスト

アンドレア マンテーニャ 死せるキリスト

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素晴らしい作品が多すぎるのですが、ブレラ絵画館で絶対にみなくてはいけないのがこの「死せるキリスト」

15世紀後半の北イタリア絵画を代表する画家のひとり、アンドレア マンテーニャの作品です。

短縮法が大胆に用いられていて、劇的な構図が印象的。

痛そうな部分に目が引き寄せられてしまいます。

近づけるだけそばに行って、背景もよく観察してみてください。
ぱっと見ただけではわからない部分を鑑賞できます。

向かって左側に描かれている、キリストの死を悲しんでいる人の顔が半分で切れているのも、マンテーニャの意図。

ピエロ デッラ フランチェスカ ウルビーノの祭壇画

ピエロ デッラ フランチェスカ ウルビーノの祭壇画

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そしてこれも絶対に見逃せないのが

「聖母子、諸聖人とフェデリコ ダ モンテフェルトロ」

ひざまづいているのが、モンテフェルトロ公(1422~1482)ですが、フィレンツェのウフィツィ美術館に行ったことのある人には見覚えのある顔ですね!

作者であるピエロ デッラ フランチェスカの遠近法と細部の描写が素晴らしすぎる作品。

真ん中のマリア様が立ち上がったところを想像してみてください(笑)

ウルビーノはラファエロ (1483~1520年)が誕生したところで、ぜひ訪れたい場所ですが、交通の便がいまひとつなのが難点ではあります。

そしてこの隣には、ラファエロの作品が!

ラファエロ サンツィオ 聖母マリアの婚礼

ラファエロ サンツィオ 聖母マリアの婚礼

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1504年の日付と署名入り!(建物の真ん中の部分を見てくださいね。)

ラファエロの師匠であるペルジーノも同じ題材で描いていて、その作品が以前特別に展示されたことがありますが、ラファエロのそれと同じような構図で、とても素晴らしかったのを覚えていますが、ラファエロは師匠を越えたな!というのも同時に実感しました。

ラファエロは師匠の作品より遠近法を意識し、人物の動きがより生き生きした作品に仕上げることに成功。

師匠のペルジーノの作品は、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂でもみることができますが、きっとミケランジェロのフレスコ画しか観ていない人も多いことでしょう。

ラファエロの若いときの代表作といってもいいこの作品、必見です。

 

この先にも見所があるので、時間配分に注意

ここまで見学しただけでも大満足できるのですが、まだまだすごい作者の作品があるのがブレラ絵画館。

フィレンツェのウフィツィ美術館のように大きくない、適度な広さとはいえ、すごい作品のオンパレード。

カラバッジョ エマウスの晩餐

カラバッジョ エマウスの晩餐

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カラヴァッジョ(本名はミケランジェロ メリージ)のこの作品、同じ題材のもっと彼の若いときの作品は現在、ロンドンのナショナルギャラリーにあります。

以前こちらもブレラにきて、対比することができましたが、同じ作家でもこれだけ変化するのか!というのを目の当たりにしました。

こちらの作品のほうが、画面がより暗く、光と影を用いて感情的な要素を際立たせています。

ミラノのアンブロジアーナ絵画館にも彼の作品があるので、そちらもぜひ見ていただきたい!

そして最後はやっぱりこちらの作品でしょう。

フランチェスコ ハイエツ 接吻

フランチェスコ ハイエツ 接吻

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私はこの作品よりも、同じ部屋に展示されている彼の他の作品のほうが好きだったりするのですが、この「接吻」はとにかく有名だし、ブレラ絵画館を代表する作品のひとつなので、近くでじっくり鑑賞することをおすすめします。

左の奥の人影が、この恋人たちを引き離そうと迫ってきている様子、わかりますか?

男性の左足が階段の上に置かれている様子からも、もう行かなきゃ、名残惜しいけど行かなきゃというのが想像できます。

 

毎年バレンタインデーの時には、この作品の前で愛を誓うカップルが写真撮影(フラッシュは禁止!)したりしているようすが、TVのニュースで流されたりしていますよ~

 

 

その他のおすすめ

地上階にある芸術アカデミー(Accademia di Belle Art 日本の美術大学のようなもの)の中を進んで突き当りを右に行った階段をあがると、天文博物館(Museo Astronomico)、その先に進んで屋外にでると、植物園(Orto Botanico)もあるので、時間に余裕があればのぞいてみるのもいいですね!

カフェ

カフェ

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まとめ

ブレラ界隈は、昔からアーティストが集まるところでもあったため画廊や画材店、アンティークを扱うお店や個性的なバール、レストランがたくさんあるので、見学後にそういったお店でミラネーゼ(ミラノっ子)に混じってショッピングやアペリティーボ、夕食を楽しむのもいいと思います。

丸ごとミラノを楽しんでください。

 

ブレラ絵画館詳細

名称:Pinacoteca di Brera
住所:Via Brera, 28, 20121 Milano MI, イタリア
電話:+390272263264
WEB:http://www.brera.beniculturali.it/
営業:8時30分~19時15分(月曜日休館)

 

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